現代能楽集VI 『奇ッ怪 其ノ弐』

世田谷パブリックシアターにて、
現代能楽集VI 『奇ッ怪 其ノ弐』を観てきましたよ。

板の間とそこに空いたいくつかの穴。
斜めにつくられた廊下を、これがヤオヤか!と
感心するのもそこそこに、
現われたるは幽霊たち。
開演前からそれは始まっていたのでした。

生と死、現在と過去、語り手と演者、ファンタジーと現実を
縦横無尽に行き来しながら語られるストーリーは
日常の少し先。
背筋がゾッとするのはそれが幽霊だからではなく、
それが観客も踏み入れかねない、日常の延長だからに他なりません。

特に最後、メインの主人公が体験する「奇ッ怪」は
3.11の大地震を意識したエピソード、
日常を丹念に描くことで如実に現れる、
日常ととなり合わせの非日常の衝撃と恐怖。

もうすぐ半年になるあの事件を、
改めて思い起こさせてくれました。
続いていることがあたり前だった日常を、
削ぎ落とされてしまった全てのタマシイに、合掌。


帰ってから調べた「」に、
また面白さと驚きを覚えました。

現代能、と言うだけあって、
能のルール、世界観がこんな風に活かされていたんだなあ、
というのが、知れば知るほどわかって
脳内パズルがすっきりしまくりでした。

例えば仮面。
本劇では個性を消すためのアイテムとして使われる仮面でしたが、
能はもともと能面を使う芸能で、個性と表情を作るためのもの。
仮面に真逆の役割を与えるという演出に、
能を現代劇に変えてやろうという意気込みと同時に、
能への深い敬意を感じました。

他にももっと、能へのオマージュびんびんで
能をよく知った人ならもっといろいろ楽しめたんだろうなあ、と
悔しさにも似た思いを、観劇後に味わってしまいました。

ガチの能も、見たいなあ!