「なにもなかった、
しかし私は恐れていた」
モーパッサン『オルラ』
原題は”Le Horla”で
もちろんフランス文学なのですが、
ややこしい講義をとっているので写真は英語訳のものです
主人公は、なにかが部屋にいるという観念を抱き
その「なにか」におびえるようになります
この小説では主人公のおびえや苦しみ、
そして「なにか」をあばこうとする彼の戦いだけしか
描かれていないのですが、
実はこの物語に隠された裏のストーリーに、
読者は巧妙に導かれているのです
「なにか」はほんとうに存在するのか?
全てが主人公の妄想なのではないか?
主人公の妄想か、
あるいは
主人公にしか気付かない「なにか」があるのか、
二つの可能性のあいだを揺らぎながらも
物語は破滅的なクライマックスへ向かっていきます
これ以降、作者モーパッサンは
じっさいに精神に支障をきたし、
自殺未遂まで企てることになる(翌年衰弱死)という
いわくつきの作品。
20ページくらいの短いものなんで
ぜひ一度つまんでみてください!!